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第9話 荷車に残った塩

last update 公開日: 2026-10-01 21:26:51

王の執務室へ入ると、戻ったばかりの巡回兵が地図の上に指を置いていた。そこは灰冠城から南へ向かう街道と、川沿いの細い道が交わる場所だった。私が王と出会った橋より、さらに南にある。

「荷車は道を塞ぐように並んでいました。馬はおらず、御者の姿もありません。周辺を探しましたが、暗くなる前に見られたのは川岸までです」

 兵の外套の裾から、乾きかけた泥が落ちた。エイドリアン王は報告を最後まで聞き、三台ともその場に残していること、兵が見張っていることを確かめた。

「王領の紋章は、どこにあった」

「荷台の後ろです。三台とも同じ位置に焼き印があります。一台には荷札も残っていましたので、持ち帰りました」

 兵が差し出した木札には、「保存食」と記されていた。行き先は北倉、日付は五日前。私が追っている昨冬の荷とは別だが、届け先は同じだった。

「北倉には、五日前に保存食が三台分届く予定でしたか」

 王がこちらを見た。私は首を横に振る。

「今調べているのは冬の記録です。最近の予定はまだ見ていません。荷札だけでは、中に何を積んでいたかも分かりませんし」

「そうだな。今夜は道を守らせる。明るくなってから車体と現場を
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